全日本女子インカレ 展望と解説(470級)

  • 18
  • Sep

 全日本インカレシリーズ第2弾『日建・レンタコムカップ 第21回全日本学生女子ヨット選手権』が、9月21〜9月23日まで葉山新港ヨットハーバーを舞台に開催される。今大会の注目は、「関西学院大学が史上初の総合3連覇なるか?」である。(文/なまちゃん・外道無量院)

 クラス・総合共に2連覇はあるが、3連覇は未だに達成されていない(注・近藤愛さんがスナイプと470で3年連続の優勝はある)。この注目点を踏まえ、展望と解説に入ります。そこで『外道無量院』氏に登場していただき、前回の個人戦同様、私(なまちゃん)と対談形式で進めてまいります。


カレッジクイーンの証。各クラス優勝者に贈られるネックレス

◎ヨット界の女子はますます隆盛だ!
なまちゃん
「さあ、全日本個人戦が終わり、いよいよ各地の水域インカレも始まります。「九州」「近北」などすでに終ったところもあり、捨てレースなしの緊張感が何とも言えないインカレシーズン本番が近づいてきました。そして一足早く、その女子版の全日本インカレが、9月21〜23日、学生ヨットの神宮球場・葉山沖で開催されます。

 過去20年の優勝者一覧表には、ロンドン五輪で注目された近藤 愛、田畑和歌子のご両名の名前もあります。しかし、男子と比べて層が薄い割りに意外と少ないのが「連覇」ですね」


昨年470優勝の松下/森本(関西学院大)。松下は今年は史上5人目の連覇に挑戦です。photo by Junichi Hirai

外道無量院
「過去にも『連覇有力』と思われた選手が、1つのリコール、1つのDSQ、そして2回目の『笛』で脱落していった。たった1つのミスが大きく明暗を分けるインカレドラマの『女子版』だ。プレッシャーも掛かるし『連覇』が難しいのも当然だろう。

 そんな中、スナイプ(第9回大会)と470(第10回、11回大会)に渡って3連覇した近藤愛(日大)は、やはり傑出していたのでしょう。ある意味、その後の活躍を暗示していたとも言えるのではないか。

 また、クラス優勝までを「団体戦」と考えると、第12回大会での470優勝は日大・岡田風美/高須智子なので「日大の470クラス3連覇」は達成されている。

 さて、今年は昨年を上回る470級に38艇(昨年35艇)、スナイプ級に37艇(昨年31艇)の合計75艇・150名以上が葉山に大集結。部員不足に悩む男子を尻目に女子勢はますます元気だ。あとで名前をあげる優勝候補・有力選手たちは、一部を除いてほとんどが『インカレ正規チーム』でもレギュラー級。この20年間の『女子イン』の果たした貢献なのか、それとも男子選手が弱小化した証拠なのか?

 ん?しかし、よく考えてみると、この傾向は応援部・応援団と同じだな。どこの大学でも男子リーダーの成り手が不足する一方で、女子チアリーダーはますます隆盛だ。応援部・応援団がなくなると、現役学生だけでなく校友会関係者からマスコミまで、多くの人々が困る。

 だいたい、入学式や卒業式などの公式行事から、さては卒業してからの結婚式や同窓会も応援部や応援団がいないと格好がつかんだろう! そのため、大学当局をはじめ各方面から多くの援助・働きかけもあろうが、ヨット部がなくなっても困る人は極僅か。

『自助努力』で何とかしなければ、そのうちひっそりと『孤独死』にもなりかねんぞ」

なま
「外道さん、縁起でもない事を言わないでくださいよ。でも、たしかに今年の関東春インカレのパンフレットを見て、加盟校こそ50校近く載ってましたが、なんと11校が部員ゼロ! さらに部員が6名以上いたのは半分もないくらいでビックリしました。ここらで本気になって取り組まないとヤバイのは確かですね」

◎女子インは個人戦なのか? 団体戦なのか?
なま
「さて、レースの方ですが、しかし、本当に8レースあるのに、レース公示を読んでも捨てレースなしなのですね。いやはや厳しい…。私は個人戦との認識でしたので、ちょっとびっくりしております。

 この大会の『名物』として、メインスポンサーの日建レンタコムからそれぞれのクラス優勝ペアに『ダイヤモンド』も贈られるそうで、女子選手にとっては大きな魅力なんでしょうね?」


「ここ数年、得点方式がクルクルと変わる全日本個人選手権とは違って、この全日本女子インカレは第1回大会から一貫して『捨てレースなし』。これは、「インカレ」と同じで良いのじゃないか? クルーには乗り代わりを認めているし、第6回大会から『総合』という団体戦もあるのだから。

 これにまで捨てレースを認めるように変更するとなると、『本家本元』の全日本インカレまで捨てレース採用になって逆に、『インカレ』の価値、意味自体をおとしめる事にもつながり、良くないと考えるがね…・。

 ただ、創設当初の第1〜5回大会では『総合』もなかったり、また、スポンサーからクラス優勝者に贈られる女子イン名物の『ダイヤモンドのネックレス』が、『メイン』が個人戦なのか団体戦なのかを曖昧にしているのかも知れない。

 しかし、インカレでも『総合』がなかった時代も長くあった事だし、個人戦、団体戦が重複するインターハイや他競技のインカレ(陸上/水泳など)と同等に考えればよいのではないか。それより、『女子より弱い男子』が続出している方が問題のような気がするのだが…」

なま
「う〜ん、女子インカレは個人戦なのか? 団体戦なのか? を考えると中間的なんですよね。総合も無理やり新設した印象が強いですから…。ですから、それぞれ意見はあると思います。しかし、私自身はカットなしの方が好きです。まぁ、インカレの伝統ってことで、良いってことにしておきましょう。

 また、女子勢の躍進と男子勢の弱小化については、喜ばしいのか、先行き暗いのか、両面複雑ですが、私の時代では「女子にレギュラーを奪われる」なんてのは人数不足以外なら最大の屈辱でしたし、私の母校では考えられない事でした。

 確かに、女子に負けない男子の奮起が必要なのは間違いないでしょうね。でも、この傾向は学生界だけじゃないですよ。すでに5年前の2007年には、全日本470選手権で女子ペア・近藤/鎌田(2008年北京五輪代表)が優勝しましたからね。スナイプの全日本では、いつまで男子勢がタイトルを守れることやら…。

 それでは、今回は「先攻」で、私の考えをはじめに述べておきます」

なまちゃんの470級予想
◎・・・日本経済大・波多江(4年・福岡第一)/畑山(2年・星林)
〇・・・関西学院大・松下(4年・長崎工)/中川(3年・長崎工)
〇・・・関西大・後藤(3年・別府青山)/納庄(4年・加古川西)
▲・・・早稲田大・山口祥(3年・長崎工)/谷口柚(3年・長崎工)
△・・・日大・若林(1年・藤嶺学園鵠沼)/長谷川(1年・海津明誠)
△・・・同志社・豊田(3年・別府青山)/原(2年・同志社女子)
注・・・明海大・波田地(2年・碧南)/澤田(1年・大島海洋国際)

なまちゃんの寸評
 同じコンビで全日本個人戦で6位入賞した日経大・波多江/畑山が大本命。問題はカットレースがないことで、昨年、日経大の徳重艇がOCSで優勝できなかったように、失敗は許されない。そこがポイントのような気がする。

 となると、山口艇(早稲田)、若林艇(日大)は下級生でもあり、思い切ったレースができれば期待できるのかも? しかし、昨年はエントリーしながら、部自体の謹慎・活動自粛で不出場だった後藤艇(関西大)は、昨年のチャンピオン松下艇(関学大)と遜色ないと思っている。全日本個戦でも10位とかなり期待できる。

 近北勢はどうか? 豊田艇(同志社)は昨年6位入賞、またレギュラーとして活躍しているので実力はある。ただ、関西勢の方が上か? 大穴は明海勢、脇永コーチが就任してから随分変わってきてるようである。関東春インカレでも健闘したように、ここでも期待できるのかもしれない。しかし波多江艇の大本命は揺るがないだろう。別格です。


2011年度470全日本女子優勝の波多江/畑山。畑山の減量作戦が功を奏するか? photo by Junichi Hirai


「今回は、個人戦と違って固い予想できたな(笑)。確かに日経大・波多江の昨年は、2連覇のかかった徳重艇の影に隠れて2番艇扱いで目立たぬ存在だったが、終わってみれば3位。日経大の「競争と切磋琢磨」、厳しいトレーニングに揉まれているので有力候補なのは間違いない。さらに、片クラス特化なので、『総合』の事も考えずに実質上、この女子インは個人戦として戦えるのも有利な条件だろう。

 しかし、実はそれほど「固い」とは思えないんだな、今年は。だいたい、冒頭で述べたように、いくら最強チーム・日経大だからといっても、波多江は4〜5番手スキッパーでしょ? さらに、若いクルーの畑山にも今回は相当なプレッシャーがかかるだろうし。

 だいたい、11月のインカレでも優勝や上位を狙おうかという他大のレギュラー級が束になっても敵わないようでは何とも情けない話じゃないか。そこで、奮起を期待する意味でも今回は私がひとひねりしてみよう。

外道無量院の470級予想
◎・・・早稲田大・山口祥(3年・長崎工)/谷口柚(3年・長崎工)   
〇・・・日本経済大・波多江(4年・福岡第一)/畑山(2年・星林)
▲・・・関西学院大・松下(4年・長崎工)/中川(3年・長崎工)
△・・・関西大・濱田(4年・別府青山)/西山(4年・大阪桐蔭)
△・・・関西大・後藤(3年・別府青山)/納庄(4年・加古川西)
△・・・甲南大・神木(3年・県芦屋)/上(4年・親和女子)
△・・・同志社・豊田(3年・別府青山)/原(2年・同志社女子)
△・・・日大・若林(1年・藤嶺学園鵠沼)/長谷川(1年・海津明誠)
△・・・立命館・柏原(3年・立命館)/吉岡(4年・県芦屋)
特注・・・学習院・山内(4年・学習院女子)/谷口(1年)
※舵10月号・文字どおりの「みなみちゃん」に注目!


関東では敵なしの山口/谷口(早稲田大)、そろそろ全日本女子のタイトルが欲しい所。photo by Junichi Hirai

外道無量院の寸評
 この季節、蒲郡全日本個人戦であったような条件が葉山で再現するのは逆に確率が低い。蒲郡で平均6〜7メートルだったとしたら、今回は平均でいえば吹いてもせいぜい4〜5メートルだ。6〜7メートル吹く場面があっても、その条件でのレースは数本に限られるだろう。大半が3〜5メートル程度の範囲で行われる可能性が高いと読んだ。

 そこで、本命は早稲田大・山口祥/谷口柚とした。2009年IH・ソロ優勝コンビで、大学入学以来、山口祥は関東女子インカレを無傷の3連覇中だ。一昨年が3位、昨年は準優勝、そして今年は優勝とステップアップできるか? 彼女にとっては吹きすぎだった今年の個人戦でもチーム内では最上位の11位とソコソコに健闘。

 今年の早稲田で『全日本』とつくタイトルが取れそうなのもおそらくここだけだろう。畠山監督にしてみれば、現在の3年生は独断で男子を取らずに、2名とも女子をスポーツ推薦入学枠で選んだ都合上、ココらでその当事者コンビによってタイトルを取ってもらわねば、立場も危ういじゃないか!?

 就任以来、一昨年までに全日本インカレで「総合3連覇」、「スナイプクラス2連覇」、また、全日本個人戦でも異なる選手で「スナイプクラス2連覇」を達成したが、その期間中でもこの女子インでは、『総合優勝』は一度ある(第18回大会・2009年)ものの、『ダイヤモンド』は一度も手にしていない。3年前、「女子2名」に固執した理由は、『ダイヤモンドに眼がくらみ…』しか考えられないのだが・・・。

なま
「外道さん、それは間違いなく考えすぎ!」


「えっ〜、単なる私の考えすぎか!? それでは、個人戦6位入賞のコンビ、日経大・波多江/畑山を対抗以下には落とせないなあ。

 次にこの2艇をまとめて負かせる存在ならば、昨年のチャンピオン、関学大・松下/中川が筆頭格だが、水域内の女子インカレや個人戦でその松下艇に走り勝っている関大勢の2艇も全くの実力互角で侮れない存在だ。

 さらに甲南大の神木艇(昨年8位)、同志社大・豊田艇(昨年6位)の実績組に加え、立命館大・柏原艇もクルーに復帰した吉岡を乗せて上位入賞に期待がかかる。日大期待のルーキー・若林艇は、「関東2位」とは言っても山口祥艇とは大差だったので、どこまで?

 そして、特注は学習院大の「みなみちゃん」だ。クルーが関東女子インの時と代わっているのが不安だが、余計な心配か?(笑)」

なま
「ちょ、ちょっと!『美人に特注』とか、どうせな〜んも考えないでインターハイの結果だけで決めたに過ぎないセレク枠選手の選択理由を勝手に妄想するとか、外道さん、今回は余裕ですね(笑)」

※次回スナイプ級、総合へ続きます。

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