ヨットレース繁盛記・初島ダブルハンド後編

  • 04
  • Jul

 6月29日、初島ダブルハンドヨットレースに出場した妄想女子ペア、スミコ&マッキー。前編は「初島の手前で風がなくなった〜」という悲しい場面で終わりました。後編は、帰路のリーチングダービーへ突入。ホビーホーク号の運命はいかに?(BHM編集部)


スミコ&マッキー(左)。レース翌日におこなわれた表彰パーティーで。photo by キワムの写真館(J.Sakurai)

連載ヨットレース繁盛記
初島ダブルハンドヨットレース2013・後編

 ベタベタだけど追い潮を貰っています。SOG(速度)は1ノット以上出ているので、ジブをあげてヘディングを初島の右端に向けてじっと耐えます。(文/石丸寿美子)

 小1時間漂ったのち、前方から西〜南西の風が入ってきました。まだまだ安定せず、めまぐるしく振れるので、細かくトリムしながら、失速しないように集中して滑らせます。いよいよ、勝負どころの初島アプローチになりました。

 浅いところを大胆に攻めて内側を通ったフネに少々まくられたけど、その後のタッキングマッチで抜き返し、結果的に微風のクローズをうまく滑らせることができたようで、いつも詰めが甘く失敗しているところを今年はうまく切り抜けました。バンザイ! 13時06分、初島回航。

 帰りもまたスピンです! 60度に向かって徐々にベアした頃、あたりを見まわすと同じクラスのライバル艇がすぐ後ろに3艇、少し前に1艇いることに気づきました。どひゃー! これは焦ります。

 プロパーコースにきっちり落としていく艇と、少しのぼり気味のコースを取る艇がいて迷います。風はこの後、やや前に回りそうな気配だけど、のぼっていく先行艇を後追いしてもチャンスはありません。

 そして、まだ風がそれほどしっかりしていないので、後続をカバーして60度まで落とすと若干スピードが足りません。スピードをキープしながらバウダウン・プレッシャーで落としていく、その繰り返しをしていくとちょうど真ん中くらいでどちらもカバー圏内です。

 あまり周りを気にしすぎないようにして、いつもクラブレースで練習しているように基本に徹して走らせることにします。今日一番の勝負どころです〜。

 その後、前に追いつき、後ろも引き離すことができました。セーリングで前に出られるというのは精神的にとても楽でスバラシイことです! もし立場が逆だったら、メンタルの弱いわたしは胃に穴が開いていたかもしれません。スピンランにアドバンテージがある〈ホビーホーク〉にとって、行きも帰りもスピンというのは大きかったです。

目を三角にして追いかけるぜ!

 その後、だんだん風があがってきて、風向も徐々に前に回っていきました。どうやらこのまま行くとフィニッシュまでスピンでは上りきれそうにありません。

 タイトリーチのスピンランで、ハイクアウト一切なし(編注:二人だからハイクアウト効果が期待できません)ではヒールもかなりきつく、パフが入るとコケそうになるのでもう喉がカラカラです。

 一緒に走っているライバル艇が誰もスピンを下ろさないので行けるところまでいくしかない、としばらくはムリ帆(編注:タイト過ぎる状況でスピンを降ろさず無理に走らせること)を続けていましたが、セールがバサバサしっ放しで危険な感じ。

 これ以上は堪えられそうにありません。ふと「欲を出しすぎない!」というテーマが頭をよぎり、ここまで来てトラブルは避けたいので、思い切って真っ先にスピンを下ろすことにしました。ル・マン24時間で、終了間際にタイヤ交換でピットインするかしないかみたいな感じ?

 バウハッチへ取り込みは無理そうなので、キャビンにします。落ち着いて用意し、真ランまで一気に落としてスピンを潰しました。

 マッキーが潰れたスピンをうまく抱えたのに、解放したはずのマストのハリヤード・ストッパーが、またかかってしまいやり直し。2回目も同じことが起こり、3回目にようやくダウン。1回目で決まっていたら、かなり華麗なテイクダウンだったはずなのに…。

 ぬぉー、なかなか妄想通りにはいかないなー。だいぶロスしてしまい、ここで3艇にやられてしまいました。でもこれが女子コンビでやる現実です。実力どおりの結果だから仕方ないです。

 周りのフネも私たちがスピンをおろすのを見て一斉におろしたので、あとはフィニッシュまでアビームで秒差の戦いです。1秒でも速くフィニッシュするために、目を三角にして追いかけます。もう腕がもげそうだし、首はコチコチだし、握力も限界。

がんばった!今年も楽しかったよー

 16時32分、無事フィニッシュ! 9時間半のレースでした。ずっとバトルを続けてきた同じクラスの4艇がそれぞれ30秒差くらいでなだれ込みました。

 いつもだったら、ここは爽やかな感動に包まれるところなんだけど、今年ばかりは何秒差で入ったかで表彰台がかかっていそうなので、それどころじゃありません。スクラッチシートを見てやっと安心し、痺れてプルプルしている腕で何とも言えない達成感に浸りました。

 結果は、92艇中28着、Dクラス第3位でした! ベテラン揃いのクラスの中で上デキです。今年も強豪の皆さんと一緒にレースできて、色々勉強になりました。何回やってもホント学ぶことばっかりです。

 今年も一大イベントの初島ダブルハンドが無事終わりました。何か夢中になることを見つけ、目標を決めてチャレンジすることは本当にすばらしいことだなぁ、と改めて感じています。濃い週末だったー。たくさんの、楽しい仲間に囲まれたこの環境に感謝です。

 そして、去年は「ありがとね〜」となでなでして頬ずりまでしたスナッファーを、今年は終わってから二人でペシペシ叩いておきました。わはは。


ありがとう初島!photo by キワムの写真館(J.Sakurai)

◎ヨットレース繁盛記
(14)初島ダブルハンドヨットレース・前編
(13)「小田切杯」ガテン系セーリング?
(12)「SHUGYOKU CUP」毛根から脂汗が噴出
(11)大島レース・後編
(10)大島レース・前編
(9)「京急カップ」春の珍事なのです
(8)「テーザースプリングレガッタ」春テーザーに久々参戦
(7)「SportsCode CUP」ブローチング祭りだ!
(6)「MUSTO CUP」春っていいよね!
(5)「HMYC会長杯」春の嵐で退散です
(4)「SAILRACING CUP」クラブレースで悲鳴
(3)「Sailors for the Sea Cup Clean Regatta」心臓が剛毛で覆われる
(2)「新春烏帽子岩レガッタ」烏帽子岩へゆく!
(1)新連載「ヨットレース繁盛記」スタート!

======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
丸玉運送
ノースセールジャパン
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ