トランスサガミヨットレースと落水事故

  • 09
  • Aug

 8月3日、静岡県伊豆半島下田から神奈川県三浦半島三崎まで48マイルを走る「トランスサガミヨットレース」が開催されました。参加はIRCクラス28艇、ORCクラス8艇。レースは、最大30ノット近くまであがる南南西の強風が吹き、参加艇はエキサイティングなダウンウインドを満喫しました。ラインオナー、IRC Aクラス優勝は〈CENTURY FAST GP〉(GP33)の4時間33分52秒。IRC Bクラス優勝は〈EVERYTHING EVERYTHING〉(YAMAHA33S)、ORCクラスは〈EBB TIDE〉(B&C37)が優勝しました。(BHM編集部)

14.08.09_13
下田港から利島、新島方向を見る。伊豆半島、伊豆諸島は相模湾のセーラーにとって馴染み深いクルージングスポットです。photo by Junichi Hirai

14.08.09_11
2014トランスサガミヨットレース成績

相模湾大島沖の落水事故について
 レースが終盤に差しかかった3日午後のこと。ある艇から落水者が出たという情報が入り、大会運営、海上で連絡を受けたチームは騒然となりました。

 場所は相模湾のほぼ中央。三崎まで17マイルほどの位置でした。艇はスピネーカートラブルにより走行困難な状態で、それを修復しようと作業していた時にブローチング。そのとき1人のクルーが風下側から艇外へ投げ出されてしまいました。

 落水時、艇体の一部をつかんでいたそうですが、船の動きに耐えられるはずもありません。そのまま船から離れてしまいます。落水者のライフジャケットは自動膨張タイプではなく手動式で、自らライフジャケットをふくらませました。

 その後、海上保安庁の救助艇が現場に到着したのは約1時間半後でした。落水者は身体が冷えてきているのを感じたそうですが、船から救命浮環をなげられて一命を取り留めました。

 今回の救助にはいくつかの幸運があったといえます。落水者本人いわく「このまま海につかっていたら低体温で危なかったと思う」と話していましたが、救助までの時間が1時間半から2時間の間におこなわれたこと。意識がはっきりしていたこと。日中で発見がうまくいったこと。もし、数時間遅れ日が暮れていたら、落水者の捜索はむずかしくなっていたことでしょう。

 今年の「トランスサガミヨットレース」では、あらたにJSAF OSR(外洋レースの安全規定)のカテゴリー3が出場条件に加えられました。安全には実行委員会も十分に気を配り、各艇にカテゴリー3を導入した趣旨を伝え、理解を呼びかけていました。

 これは、海の安全を考える上で良い流れにあると言えますが、装備を持っているだけでは不十分です。各チームが、安全装備を使ったトラブルシューティングを学ばなければ意味が無い、と痛感した次第です。

さらに…
・もしゲストがいたときに時化てきたらどうする?
・同乗する初心者の命はだれが守る?
・艇長の役目・責任は?
・救助を求める方法は?
・無線や緊急装備の使用方法は?
・ヨットから落水者を救助する方法は?

 まだまだ夏のレースは続きます。今回の落水事故は、安全に対して、もう一度、考えてみる良い機会となりました。外洋レースに出場するセーラーのひとりとして、編集部もよく考えてみたいと思います。

※現場の状況は落水者本人の話を元にしています。

追記:トランスサガミ実行委員会が調査報告書を発表しました。ぜひ御覧ください。(2014.8.11)
http://www.jsaf-anzen.jp/pdf/TS14_jiko_gaiyou.pdf

======================================
わたしたちは走り続けるセーラーを応援します
BULKHEAD magazine supported by
BayTrip Sailing
ポール・スチュアート
ベストウインド
パフォーマンス セイルクラフト ジャパン
SAILFAST
ウルマンセイルスジャパン
ノースセールジャパン
入船鋼材
フッドセイルメイカースジャパン
アビームコンサルティング
トーヨーアサノ
Velocitek
銚子マリーナ
コスモマリン
Gill Japan/フォーチュン
JIB
一点鐘
エイ・シー・ティー
ハーケンジャパン
ファクトリーゼロ