イタリア・レドロ湖「ユースマッチレーシング世界選手権」に出場して

  • 21
  • Jul

 7月3〜8日に北イタリアのトレント州レドロ湖にて「ユースマッチレーシング世界選手権」が開催され、3月に行われた大学対抗&U25マッチでこの大会への参加資格を得た私と3人のチームメンバー(岩井俊樹、岡田一輝、吉富 愛)の4人が、日本代表として参加してきました。(レポート・写真提供/菅原雅史)


イタリアで開催されたユースマッチレーシング世界選手権に参加してきました。大会初日には村を練り歩く開会パレードが行われました

 この大会は23歳以下のユースのマッチレーサーの世界一を決める大会であり、11カ国から12チームが参加しました。プロセーラーを目指す選手にとっては登竜門となっている大会でもあるため、特に上位チームのレベルは高く、熱い戦いが繰り広げられました。

最終結果は以下の通りです。
2018 Youth Match Racing World Championship
1位 Botticini (ITA)
2位 Boulden (AUS)
3位 Weis (USA)
4位 Egnot Johnson (NZL)
5位 Bergqvist (SWE)
6位 Pierroz (FRA)
7位 Borch (DEN)
8位 Whitfield (GBR)
9位 Sugawara (JPN)
10位 Fornasari (ITA)
11位 Evtikhov (RUS)
12位 Freixa (ESP)


レースの行われたイタリア・レドロ湖

 私たち日本チームは9位という結果で終わりました。レースはダブルラウンドロビン(総当たり戦を2回行う形式)の後、上位4チームとその他のチームに分かれて順位決定戦を行うというフォーマットが予定されていました。

 最初の2連戦で連勝したものの、その後は苦しい戦いが続き、ファースト・セカンドラウンドロビンともに3勝8敗に終わり、時間の関係で5位以下の順位決定戦が省略されたために、ラウンドロビンの成績がそのまま最終的な成績となりました。

 以下、この大会に出場して感じたことを、主に現役大学生に向けて書いていきたいと思います。


日本チーム。左から吉富(神戸大)、岩井(早稲田大)、岡田(東京大)、菅原(東京大)

マッチレースという世界に入って
 私は3月に行われたU25&大学対抗マッチからスキッパーとしてマッチレースを始めました。

 この大会でU23の枠で1位になったためにユースマッチレーシング世界選手権の出場権を得ることができたものの、出場するにあたって他のチームに比べてマッチレース・キールボートの経験が少ないことは否めませんでした。

 実際、走りのスピードは変わらないものの、Stop&Goといったスピードコントロールやタイム&ディスタンスの判断の正確さなどマッチレースに必須の技術は他国の上位チームの方が優れていました。

 一方で、優勝したイタリアチームを除けば、他のチームの全てに対して勝機があり、マッチレース経験の少なさによる判断ミスやプレッシャーなどから自滅・逆転をゆるすパターンも多かったのも事実です。

 悔しさを感じると同時に、今後マッチレースの経験を積んでいくことで彼らと十分に戦えるのではないかという可能性も感じています。


他チームとの交流も醍醐味の一つです。写真は風待ち中に一緒にUNOをしたフランス・イタリアチーム

英語力
 4年前にこの大会に出場した市川スキッパーのレポートにも書いてありましたが、国際大会においては英語力が必須のスキルです。

 スキッパー・ミーティングやアンパイアとのデブリーフィングも英語で行われますし、英語ができなければ他国チームの選手と交流することもできません。

 その上で、今回特に強く感じたのが、“ヨットに関することを明確に説明できる英語力”が必要だということです。

 実際、出場12チーム中8チームは非英語圏のはずなのですが、全スキッパーが英語を使いこなしており、様々な場面で自分の考えていることをしっかり伝えていました。

 実は今回、マッチレースの大会でありながら、私たちの勝利したレースで相手チームからレース委員会に抗議が出されたため、審問が行われる場面がありました(通常のマッチレースではレース中のその場でジャッジが行われるため審問はありません)。

 レース中風が大きく振れ、それに上手く対応した私たちが相手を逆転したのですが、その状況でレースを続行したのはアンフェアである、というのが相手の主張でした。

 結果としては、その風の振れがあっても相手がリードを保てる可能性が十分にあったことを何とか伝えることができて、私たちの勝利が取り消される事態にはならずに済みました。

 でも、もし自分の主張が伝わらず、相手の主張が認められることになれば、勝ちレースが取り消される事態になるところです。

 “ヨットに関することを明確に説明できる英語力”が必要であることを強く実感しました。


マッチレース中の様子。1対1の緊張感のあるレースが行われます

インカレセーラーのその後
 ところで、日本の大学生セーラーはインカレ一辺倒で、海外のセーラーのように様々な艇種やレース形式に触れることがないまま引退を迎え、ヨットをやめてしまう、とよく言われます。

 ですが、インカレの世界を終えた後にヨットをやめてしまうのは、正直もったいないと思います。

 フリートレースでは使わないような操船技術。それらを駆使しつつ相手が全力で自分だけを倒しにくるという圧倒的な緊張感。

 (短いレースを数多くこなすという形式のために)レガッタを通じて得られる経験値の多さ。そして何より相手を抑え込んで勝利したときの嬉しさ。

 どれをとってもマッチレースにはインカレとはまた違う世界が広がっていました。

 私自身大学からヨットを始め、4年間スナイプに乗ってインカレを最終目標にしていましたが、引退後もマッチレースという形でヨットを続けてよかったと思っています。

 このレポートを読んだ現役大学生セーラーの皆さんも、騙されたと思って、引退後にマッチレースの世界に挑戦してみてはどうでしょうか?(来年も3月に大学対抗&U25マッチが開催されるはずです! ぜひ参加してみてください!)


イタリア、スペイン、ロシアチームと

 最後に、この大会に出場するにあたって、ご支援頂いたJSAF・JYMAの皆様、応援してくださった皆様には重ねてお礼申し上げます。

 私たちは今後もセーリングの世界で挑戦を続けていきたいと思っています。このたびは応援して頂き本当にありがとうございました。

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