イギリス・ファストネットで転覆事故

  • 26
  • Mar

※サンケイビジネスアイ紙で連載していたコラムを紹介します。


外洋レース中に転覆した〈ランブラー100〉。21名の乗員は無事に救助された。撮影:Carlo Borlenghi

サンケイビジネスアイ・コラム(57)
イギリス・ファストネットで転覆事故

 2年に一度開催されるファストネットレースは、イギリス・カウズをスタートして、アイルランド南西海岸端にあるファストネット岩礁をまわる608マイルの外洋レース。1925年にはじまったこの大会は、ヨーロッパで最も古い外洋ヨットレースであり、荒れるヨットレースとして知られている。その理由は、これまで起こった数々の海難事故による。1979年大会では参加303艇中5艇が沈没、15名の命が失われる事故が発生する大惨事となった。

 今年8月に開催されたファストネットレースで起きた事故は、わたしたちセーラーの背筋を凍らせる内容だった。100フィート(全長約30メートル)のレーシングボート〈ランブラー100〉が、ファストネット岩礁を回航後、突然、船体のキール(船体のバランスを保つ竜骨部分)が脱落し、船が転覆してしまったのだ。この事故は荒天によるものではなく、キールの設計、もしくは取り付けの問題と思われる。

 一般的に横流れを防ぎ、船の傾き保つキールがなければ、まともにセーリングできない。今回、使用されたのは、キールそのものが変動する「カンティングキール」と呼ばれるタイプ。このキールの登場で今まで以上に大きいセールを揚げることが可能となり、よりハイスピードのセーリングが実現した。しかし、カンティングキールの事故は、登場当初に多くの事故が報告された。そのたびに改良され、最近は事故のニュースを聞かなくなっただけに今回の原因には興味深いものがある。

 転覆事故はファストネット岩礁を回航した直後の夕方におこった。事故後、イーパブ(非常用位置指示無線標識装置)によりSOS信号が発信され、乗員21名はアイルランドの沿岸警備隊により全員救助された。救助艇が来るまで乗員たちは生きた心地がしなかっただろう。(2011.8 文/平井淳一)

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