いざ世界!マッチレースの国際舞台に立って

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  • Nov

 9月シンガポールで開催されたアジア・パシフィック・ステューデントカップで優勝した市川航平選手のレポートが届きました。出場した市川、加藤、荒川、中山の4選手は、昨年大学ヨット部を卒業しましたが現役学生でもあります。市川、加藤は、昨年度の早稲田大ヨット部、荒川はインカレ総合優勝を果たした同志社大ヨット部(現・京都大)、中山は東京大クルーザー班出身。インカレ時代に活躍した彼らを知っている方も多いでしょう。ヨット部時代は、470、スナイプ一辺倒でしたが、キールボート、マッチレースに活動の場をひろげた彼らの気持ちをお伝えします。(BHM編集部)


写真左から、市川航平、中山遼平、荒川淳一、加藤文弥。photo by eventmedia

アジア・パシフィック・ステューデントカップ優勝記

 9月17〜21日、われわれ「月光ボーイズチーム」はシンガポールにて開催された「アジア・パシフィック・ステューデントカップ2013」に参戦してきました。(文/市川航平 月光)

 この大会は、アジアのユース選手をメインにアジアチャンピオンを決めるもので、日本チームの他に、シンガポール、マレーシア、タイ、中国、アイルランド、イタリア、オーストラリアの計8カ国から選手が集い、14チームもの参加になりました。

 われわれは、今年の3月に行われた大学対抗マッチから本格的にマッチレースを始めたメンバーが大半です。ディンギーからキールボートへ舞台を変え、部活終了後も刺激的なヨットの世界に身を置いています。

 マッチ歴は半年ほどと経験は浅いものの、今大会に参戦するにあたって国内のマッチレースの大会や練習を通して動作やコンビネーションの確認を進めていき、出るからには結果を求めようという気概で挑んできました。

 大会で使用した艇種は、SB20というバルブキールの3〜4人乗りのボートで、われわれ日本チームは前方から、早稲田大学の加藤文弥(バウマン)、京都大学の荒川淳一(ミドル)、東京大学の中山遼平(トリマー)、早稲田大学の市川航平(ヘルムス)の4人の布陣で挑みました。

 予選のラウンドロビンでは、馴れない環境と高層ビルから吹き込む40度以上もの大きなシフト、そして何より艇の扱いに苦戦をしてしまい、思うようなマッチレースができませんでした。

 ラウンドロビンも終盤に差し掛かると、徐々に4人で思い通りに艇を動かせるようになっていき、自分たちの思い描くマッチレースの戦術に当てはめながら戦えるようになったものの、序盤に連敗を喫してしまっていた影響で、一時は次のステージに進めないかも、という状況まで追い込まれてしまいました。

 結局、日本とオーストラリア、そしてマレーシアの3カ国が同率8位、予選通過のリミットラインで並ぶものの、運良く両チームに直接対決で勝っていたのが幸いし、次のクォーターファイナルへと進出することができました。

 クォーターファイナルでは、8位通過の僕らは1位で通過した地元シンガポールのナショナルチームメンバーとの対戦でしたが、予選ラウンドで苦戦しながら、時にはチームメイトと熱くぶつかリながらも、艇の扱いと戦術の組み立てを1つずつ改善してきた成果もあり、2勝1敗で相手を下し、セミファイナルへと駒を進めました。

 その後も、予選2位通過のタイチームとのセミファイナル、そして昨年の優勝チームのシンガポールチームとのファイナル、ともに3戦先取の計6戦全勝で優勝を決めることができました。

 一進一退の気の抜けないドッグファイトは本当に白熱したもので、今でもあの時の興奮、そして最後のフィニッシュラインを切った、優勝が決まった瞬間の歓びは忘れられません。


レース海面は、シンガポールの名所、マリーベイサンズホテルの目の前でした。photo by eventmedia

インカレから世界へ。キールボートで世界を舞台に戦おう!

 大学ヨット部を終えてからの1年弱、キールボート、そしてマッチレースの世界に来てみて、様々な人に出会い、様々な艇種に乗らせていただいて、本当にヨットの世界は奥が深いということを感じています。

 日本では若いセーラーたちにとっては、インカレなどの国内の学生同士の戦いがメジャーですが、今大会に来ていた海外の選手達は自分の思うままに、自分の夢を追いかけて、世界狭しと国外の国際大会で活躍している選手ばかりでした。

 特に地元シンガポール勢のヨットにかける強い想いには、同世代のセーラーとして見習うべき点や刺激を受けることばかりでした。

 シンガポール国内には全部で4つの大学がありますが、ヨットが乗れる大学はそのうちの2校のみです。小さな対抗戦などは年に数回あるそうですが、全ての学生が国外の大会を焦点にセーリングをしています。

 470やレーザー、49erなどに乗るセーラーは、ユース世代にもなるとナショナルチームのメンバーのみとなり、その他の選手はキールボートの世界へと戦う舞台を変えていき、そしてその多くがマッチレースを経験していくそうです。

 みんなマッチレースの世界の第一線、アメリカズカップやワールドマッチレーシングツアー、アジア大会などの舞台を目指してセーリングをしていて、今大会中にシンガポールの選手と交わした会話の節々で、そのセーリングに対する「本気さ」を感じ取ることができました。

 日本ではあまり知られていませんが、世界にはユース世代のためのマッチレースの大会がたくさんあります。

 今回僕らが出たのは、アジアのユース大会ですが、ヨーロッパユースやオーストラリアユース、ユニバーシアードワールドやU25ワールドなど、マッチの世界に踏み込む少しの勇気と興味があれば、僕らにも世界を相手に戦うステージはたくさんあるのです。

 同じ大学同士の仲間と戦うインカレは、大切な仲間や同期たちと1つの目標に励んでいく素晴らしいヨット競技です。しかし、今しかできないヨット、若い僕らだからこそできるヨットはそれだけではありません。

 国を越えて、再会と再戦を誓い合える友をつくれ、そしてヨットを通して世界を知ることができる。大学4年間で終えてしまうにはあまりにもったいない。世界は僕らの前に広がっています。

 ディンギーからキールボートへ! 若い世代の僕らで、一緒にヨット界を盛り上げていきましょう!!

 最後に、今大会に参加するにあたり、多くの方々から多大な支援をしていただきました。このような最高の舞台に立たせていただき、本当にありがとうございました。


ルームメイトで仲良くなったシンガポールチームと。国境を越えて多くの友人ができた、素晴らしい大会でした


月光ボーイズチームが制作したシンガポール遠征レポートです

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